0W-16とACEA C規格|超低粘度・低SAPSオイルの選び分け

金属面の間の薄い油膜と、灰分の堆積がないDPFのハニカム断面

エンジンオイルの棚に「0W-16」「C5」「GLV-1」といった見慣れない表記が増えました。0W-20より数字が小さいから省燃費なのだろう、という理解までは届いても、入れてよい車とそうでない車の線引きが分かりにくい部分です。

ここを整理しておかないと、「良さそうなオイル」を指定外の車に入れてしまうことになります。

0W-16は0W-20の下位互換ではない

まず押さえておきたいのは、0W-16は0W-20指定車に使えないということです。

後半の数字は高温時の粘度を表しま。16は20より油膜が薄いということで、0W-16指定のエンジンは、その薄い油膜を前提に各部のクリアランスや油圧が設計されています。設計より薄いオイルを入れれば、想定されていない条件で運転することになります。

逆方向も同じです。0W-16指定車に0W-20を入れると、燃費が落ちるだけでなく、油路の応答が設計と変わります。どちらの方向にも、指定から外す理由がありません。

ILSACがGF-6AとGF-6Bに分かれた理由

ILSAC規格は、GF-6の世代から2つに分かれました。

規格 対象
GF-6A 0W-20、5W-30など、従来からの粘度グレード
GF-6B 0W-16専用

分けられたのは、0W-16が従来のグレードと互換性を持たないためです。GF-6Aは以前のGF-5と後方互換がありますが、GF-6Bは独立したカテゴリで、後方互換がありません。

つまり「GF-6B」と書かれている缶は、0W-16指定車専用と読んでください。ラベルを見るときの分かりやすい目印になります。

さらに低粘度の0W-8などについては、JASOがGLV-1という規格を設けています。これも同じく指定車専用です。

ACEAのC規格は粘度の話ではない

ここが混同されやすい点です。C2、C3、C5といったACEAのC規格は、粘度の分類ではありません。「触媒・DPFに適合したオイル」というカテゴリの名前です。

CはCatalyst compatible(触媒適合)を意味します。判断基準になっているのはSAPSと呼ばれる3つの成分です。

成分 何を起こすか
硫酸灼分(Sulphated Ash) 燃焼後に灼として残り、DPFに堆積して詰まらせる
リン(Phosphorus) 三元触媒を被毒させ、浄化性能を低下させる
硫黄(Sulphur) 同じく触媒に悪影響を与える

これらを減らしたオイルが低SAPS・中SAPSです。DPFを備えたディーゼル車や、後処理装置を持つ直噴ガソリン車では、SAPSを抑えたオイルでなければ後処理装置の寿命を縮めます。

逆に言えば、C規格が指定されている車に一般的なAPI規格のオイルを入れると、DPFの詰まりを早めます。粘度が合っていても解決しません。

C2・C3・C4・C5の関係

C規格の中の数字は、グレードの上下ではなく組み合わせの違いです。大きく2つの軸で分かれています。

  • SAPSをどこまで下げているか(中SAPSか、より厳しい低SAPSか)
  • HTHS粘度をどこに置いているか(高温高せん断条件での粘度。エンジン保護の実質的な指標)
規格 位置づけ
C2 中SAPS。HTHS粘度を低めに設定した省燃費側
C3 中SAPS。HTHS粘度に余裕を持たせた保護側。欧州車で最も多く指定される
C4 C3よりさらに灼分を抑えた低SAPS。HTHS粘度はC3と同等
C5 C2よりさらにHTHS粘度を下げた、省燃費を突き詰めた区分

C3指定車にC2やC5を入れてはいけません。数字が近いので互換があるように見えますが、HTHS粘度が下がるということは、高温高負荷時の油膜が薄くなるということです。ターボ付きの欧州車では特に避けてください。

APIとACEAは別の体系

缶には「SN/CF」「C3」のように両方書かれていることがあります。これは2つの異なる規格をそれぞれ満たしているという意味で、片方がもう片方を含んでいるわけではありません。

したがって、「API SPだからC3指定車にも使える」という判断は成立しません。C3が必要ならC3の記載を探してください。

欧州車はメーカー承認が最終基準

ACEAのC規格を満たしていても、それだけでは足りない車種があります。欧州の各メーカーは独自の承認規格を持っていて、取扱説明書ではそちらが指定されています。

缶に記載される代表的なものとして、フォルクスワーゲンの504.00 / 507.00、メルセデス・ベンツの229系、BMWのLL系などがあります。ロングライフ・サービス(点検間隔を延ばす設計)の車では、この承認を満たさないオイルを入れると想定した間隔を持ちません。

欧州車で判断に迷ったら、ACEAの記号ではなくメーカー承認の番号で合わせてください。

WuWAで扱っている低粘度・低SAPSオイル

0W-16(GF-6B・指定車専用)

0W-16指定車以外には使用しないでください。GF-6Bは後方互換がありません。

C5対応(省燃費・低SAPS)

C2・C3対応(欧州車で最も多い指定)

VW承認対応

製品名の「50700/50400」は、VWの507.00および504.00に対応することを示しています。

C4対応(低SAPS)

国産車向けの標準的な低粘度(20Lペール缶)

まとめ

  1. 0W-16は専用グレード。0W-20指定車には使えません。缶の「GF-6B」が目印です
  2. C規格は粘度ではなく触媒適合の分類。DPF車では省略できない条件です
  3. C2・C3・C4・C5に上下関係はない。C3指定車にC2やC5は入れられません
  4. APIとACEAは別体系。SPだからC3も満たす、ということはありません
  5. 欧州車はメーカー承認番号で合わせる。ACEAの記号だけでは足りない車種があります

0W-20と5W-30の使い分けについては、エンジンオイル 0W-20と5W-30はどちらを入れる?をご覧ください。

車種ごとの指定が判断しづらい場合は、お問い合わせより車種と型式をお知らせください。

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